ミニマリストの生活手帳

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【解説】iPhoneのポートレートモードの仕組みを簡単解説!背景がボケる理由とは?

iPhoneのポートレートモード

iPhone7Plus,8Plus,X,Xs(Max含む),Xrにはカメラアプリにポートレートモード1という機能があることはご存知だろうか。

スマートフォンのカメラでありながら、まるでプロの写真のように背景をぼかした写真を撮影出来る撮影モードのことだ。
上に挙げたiPhoneを持っている方なら購入の決め手としたかもしれない。

写真撮影にスマホを常用している一部のユーザーにおいては、それほどまでに画期的な機能であった。

▲ 例えばこのような写真がスマホで撮影出来る。

しかし、このポートレートモードは少々扱い辛いうえ、機種によって性能がバラバラであることは意外と知られていない。

そこで、このポートレートモードについて解説したうえで、どのような写真が得意でどのような写真が不得意かを作例を交えながらご紹介しよう。

※ブログの制約上、掲載されている写真の画質は大きく落ちている。雰囲気だけでも感じていただきたい。

ポートレートモードの仕組み

まずはポートレートモードの仕組みについて解説しよう。

ただし、わたしはただのカメラ好きであって技術者ではないので、あくまで一般的に知られている範囲で。

デュアルレンズとニューラルエンジン

ポートレートを語る上で外せない2つの技術がある。

それが、デュアルレンズニューラルエンジンだ。
いきなり専門用語っぽいものが飛び出してきたが何も心配はいらない。

ここでは、

・デュアルレンズ = 人間でいうところの両眼
・ニューラルエンジン = 人間でいうところの長年の経験

とご理解いただこう。

このようにご理解いただくと、ポートレートモードの仕組みは判然としたものとなるだろう。

さて、皆さまにはこんな経験がないだろうか。顔面の半分を虫に刺され、瞼が腫れ、片眼が使えなくなったことが。

ちなみに、わたしはある2
その際、遠近感覚がうまく掴めず、随分苦労したことを覚えている。

とはいえ、歩けなくなるほどではない。眼で判断できなくとも、長年の経験から大体の奥行きは脳で判断出来るからだ。

言いたいことは分かってもらえただろうか。

要するに人も機械も一緒なのである。
両眼と長年の経験から奥行き(背景)を判断し、被写体より後ろに位置するものをソフトでボカす。
これがポートレートモード利用時にiPhoneが行なっている処理である。

機種による違い

ポートレートモードは主に上で紹介した2つの技術を用いることで実現されている。
しかし、人間が片眼潰れても歩けるように、どちらか1つあればポートレートモードは利用可能である。

それが先程、ポートレートモードは機種によって性能がバラバラであると書いたものの正体だ。
要するに、この2つの技術が、機種によって片方なかったり、両方あったりするのである。

具体的には、

・iPhone7Plus,8Plus,X,Xsにはデュアルレンズ
・iPhoneX,Xs,Xrにはニューラルエンジン

がそれぞれ搭載されている。

この中で最も特殊な立ち位置にいるのはiPhoneXrだ。
iPhoneXrには片眼しかない(シングルレンズ)。

それを長年の経験(ニューラルエンジン)だけで背景を認識するのだから、百発百中というわけにはいかない。

したがって、iPhoneXrにおいては、実はポートレートモードが使えるのは人間に対してだけ3なのだ。

ポートレートモードのなぜ「画角が狭くなる」

さて、ここまででポートレートモードの仕組みについて大まかに理解していただいたものと思っている。

次にiPhoneでポートレートモード撮影をする時のなぜ、「画角4が狭くなる」について説明しよう。
ポイントは、人間の眼は凄すぎるということである。

奥行きの認識について、人間はどのように行なっているのか。
人間においては、右眼と左眼に映る映像の違いを脳内で処理し、両眼の映像を合成して奥行きを認識すると考えられている。

これをそのまま機械にやらせるにはまだもう少し科学の発展が必要だ。
ではiPhoneのではどのように行なっているのか。

それは、そもそも画角の異なる2つのレンズを用いるというものである。

近距離を広く撮影するレンズ(以下広角レンズという。)と、遠距離を狭く撮影するレンズ(以下望遠レンズという。)の2種類がデュアルレンズのiPhoneには搭載されている。

デュアルレンズ搭載のiPhoneでは、この2つのレンズ両方で写真を撮影し、うち1枚の写真にボケ加工を施し、2枚の写真を合成することで、背景がボケている写真を作り上げているのである。

画角の異なる2枚の写真を合成するのだから、必然的に画角が狭い写真に合わせなければならない。

要するに、ポートレートモードでは望遠レンズの画角に合わせて写真を撮影するため、通常の広角レンズでの撮影よりも画角が狭くなるのである。

なお、ポートレートモード撮影時に頻発するエラー「離れてください」「被写体を2.5m以内に配置してください」については、実はよく分かっていないが、この合成をうまく行うための条件なのだろう5

▲ 広角レンズの画角

▲ポートレートモードの撮影時(望遠レンズ)の画角

ポートレートモードの作例

最後にポートレートモードが人物撮影以外で得意とする写真、不得意とする写真を4つの作例を交えながら見ていただこう。

上の2枚と最後の1枚はiPhoneXsの標準カメラアプリで撮影しており、3枚目は別のカメラアプリを用いて撮影している。また、iPhoneの標準写真アプリで可能な範囲で画像加工済。

なお、あらゆる写真撮影で言えることだが、十分な光量は最重要項目であり、薄暗い自宅のテーブルフォトでカメラの性能の良し悪しは測れないということを申し添えておく。

▲ まず1枚目は標識を撮影した写真。輪郭がはっきりしており、また背景も空や雲といった分かりやすいもののためか、ボケが非常に自然。

▲ 2枚目は紅葉を真下から撮影した写真。所々ボケが不自然で奥行きも感じられない。このような被写体の輪郭が曖昧なものはポートレートモードでは撮影しない方が無難。

▲ 3枚目は標準のカメラアプリでは「離れてください」のエラーが出てしまったものを、別のカメラアプリを用いて無理矢理ポートレートモードで撮影した写真。背景が一部ボケていなかったり、写真として完全に破綻している。

▲ 最後はハロウィン限定ケーキを食べにいった時に撮影した写真。最低でもこの程度距離を離さなければ撮影できないため、テーブルフォトはやや厳しいが、ボケは美しくとてもスマホの写真とは思えない。


  1. 直訳すると人物写真撮影機能と言ったところか。本来の意味で言えば背景がボケようがボケなかろうが人物写真ならポートレートなのだが、iPhoneでは被写体に対して背景がボケた写真を撮影出来るモードのことをポートレートモードと呼んでいる。

  2. ポケモンGOにはまった2年前、1日中公園の茂みでポケモンを捕まえた次の日の朝、顔の半分がパンパンに腫れていたのだ。駆け込んだ薬局の薬剤師さんによると、ブヨという虫にやられたのだろうということだった。

  3. Xsほかデュアルレンズを搭載しているiPhoneは食事など人間以外にもポートレートモードを使用可能。

  4. 簡単に言えば撮影範囲。一般的に焦点距離(mm)で表され、数字が少ないほど撮影範囲が広い。iPhoneXsの広角レンズは26mm、望遠レンズは52mm。リラックス時の人の視認範囲は50mm程度と言われている(諸説あり)。

  5. 標準のカメラアプリではないカメラアプリではこのエラーを無視してポートレートモード撮影を行うことが出来るものもあるが、ボケが不自然になりがちである。最低限自然なポートレート写真を撮影するためには上記の条件が必要なのだと思われる。なお、被写体までの距離が50cm〜250cm程度でポートレートモードが機能する。