【感想】ドラクエ漫画「ゆうべはお楽しみでしたね」が面白い
ゆうべはお楽しみでしたね。
ドラゴンクエストで最も知られている台詞であろう、
「ゆうべはお楽しみでしたね」
知らない方のために念のため補足しておくと、この台詞はドラゴンクエストシリーズの初代である「ドラクエ11」において、ストーリーの中盤に王女を救出した後、王女と一緒に宿屋に泊まることで、宿屋の店主から聞くことのできる台詞である。
ポケモンにおける「カガクのチカラってすげー」もそうだが、名前もないモブキャラの台詞が有名になることが昔のゲームにはよくあった。
さて、では「ゆうべはお楽しみでしたね」なんてタイトルの漫画があることはご存知だろうか。
▲ 金田一蓮十郎著「ゆうべはお楽しみでしたね」
この漫画は、台詞の出身元である「ドラクエ1」を舞台とした勧善懲悪物語・・・などではなく、ドラクエをパロディしたファンタジー漫画・・・でもない。
ドラゴンクエストが大好きなごく普通(?)の男女のラブコメである。
本日は、そんなドラクエ漫画としては異色の現代ラブコメ漫画、「ゆうべはお楽しみでしたね」が面白すぎたのでご紹介する。
なお、ネタバレはない。
あらすじ
「ゆうべはお楽しみでしたね」はヤングガンガンに加えてガンガンONLINEでも連載しており、1話〜5話+最新2話を無料で読むことができる。
ガンガンONLINE公式サイトで紹介されているあらすじは以下のとおり。
金田一蓮十郎が描くネット×現実のDQXラブコメ!!
ドラゴンクエストXの世界をエンジョイしているパウダーは、オンラインの世界でチームメンバーと楽しく遊ぶ毎日を送っていた。
ある日、ひょんな事からチームメンバーのゴローさんとリアルでルームシェアする事に! ゴローさんはいつも頼れるガチプレイヤー。
パウダーが現実世界の待ち合わせ場所へ向かうと、そこで待っていたのは…!?
-ガンガンONLINE公式サイトより-
いわゆるオンラインゲームでの出会いから恋愛に発展する系のストーリー。
ゲームに限らず、ネットの出会いから恋愛に発展するケースは増えているが、そんな時流を落とし込んだ作品。
ただ、「ゆうべはお楽しみでしたね」の特殊な点は、実在するオンラインゲーム「ドラゴンクエストⅩ」を舞台として使っているという点だ。
オンラインゲームを舞台とした作品は数多くあるが、実在するネットゲームを題材とした漫画はなかなかお目にかかれない。
例えばアニメ化した作品だと、「ネト充のススメ」2が同じテーマで描かれているが、架空のネットゲーム「Randgrid Online」を舞台としている。
ドラゴンクエストⅩとは?
さて、ドラゴンクエストを知らない人はほとんどいないとは思うが、オンラインゲームである「ドラゴンクエストⅩ」を知らない人は大勢いると思うので簡単に補足を。
ドラゴンクエストⅩは2012年にサービスを開始したドラクエシリーズ初のMMORPG3である。
キャッチコピーは「皆をつないで世界がつながる」。
本作はアストルティアと呼ばれる世界で、プレイヤーが「エルフ」「ウェディ」「オーガ」「ドワーフ」「プクリポ」という5つの種族から1つを選択し、ドラクエ世界の住人として自由に遊ぶことが出来るゲームである。
MMORPGであってもドラクエらしさは健在で、操作の分かりやすさや老若男女問わず受け入れやすいポップな世界観で爆発的にオンラインゲームとしては異例のヒットとなった。
わたしは学生時代にかじる程度にしかドラゴンクエストⅩをプレイしていないが、システムは違えど「ドラクエ」をプレイしていると思わせてくれるゲーム作りは流石だと感じた。
女性プレイヤーも多かった4ため、「ゆうべはお楽しみでしたね」のような漫画が生まれるのも分かる気がする。
ドラクエを知らなくても楽しめる
「ゆうべはお楽しみでしたね」はドラゴンクエストⅩをモチーフとしているものの、話の理解にドラクエの知識が必要なわけではなく、話の本筋はラブコメである。
この点は他の架空のオンラインゲームをモチーフとしている作品と同じで、ゲームを理解していなければ楽しめないという漫画ではない。
ドラクエ抜きにしてもストーリー自体が面白いのである。
ストーリーで言えば、変に三角関係等に発展しない点はわたし的には非常にポイントが高い点だ。
ドロドロの恋愛模様は、あるところにはあるのだろうけど、社会人となった今のわたしにはなかなか共感しにくいし、読んでいて疲れてしまう。
そういう意味では、2018年4月にアニメが放送され人気を博した「ヲタクに恋は難しい」と雰囲気が良く似ている。あの作品が好きな人は「ゆうべはお楽しみでしたね」もきっと好きになると思う。
もちろん、ドラクエ好きならラブコメとしてもドラクエモノとしても楽しめる、1粒で2度美味しい作品となっているので安心して読まれたい。
フルカラー版がおすすめ
電子書籍で漫画を読む方はフルカラー版がおすすめだ。
モノクロ版と比べて少し発売が遅い5が、作者のリアル妹が着色したというフルカラー版は、主人公のゲーム内キャラクターの衣装のこだわりがより分かりやすく、可愛くなっている。
ストーリーはガンガンONLINEで追いかけて、単行本はフルカラー版を購入するというのがわたしの一推しだ。
▲ フルカラー版「ゆうべはお楽しみでしたね」
最後に
大人になるとRPGの敷居が高くなって、色んなシリーズのゲームを追いかけることができなくなって。
最後に残ったのがドラクエだった。
それでもナンバリングタイトルだけを追いかけている程度。
そんな中途半端なドラクエファンとなってしまったが、大好きなドラクエへの愛をとことん貫くこの漫画のキャラクターたちを見て、負けてられないなと思った。
いつかはわたしにも「ゴローさん」のような人が現れるかもしれないし(ない)。
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1986年5月27日に発売。言わずと知れた国内RPGの金字塔↩
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黒曜燐著作の恋愛漫画。2017年10月アニメ化。↩
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MMORPGは「大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム」の略で、1つの世界で複数のプレイヤーが同時にプレイするゲームのこと。複数のプレイヤーが参加するシステム上セーブという概念がなく、ゲーム内で経済が生まれたりもする。 ↩
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【6周年記念】国勢調査 6th Anniversary (2018/8/23)|目覚めし冒険者の広場によれば、女性キャラクター比率は約5.5割。もちろんネカマも多いだろうが、SNS上でも女性プレイヤーは多く存在するため、他のオンラインゲームよりも女性が多いのは間違いないのではないだろうか。 ↩
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2018年11月現在でモノクロ版は5巻、フルカラー版は4巻まで発売済。↩